せどりは利益が出てもお金が残らない。月利100万円の手残りを計算する

この記事の要点
- 営業利益512万円でも、手残りはマイナス188万円
- 返済は利益からではなく、税引後の利益から出る
- 売上を増やす前に、返済額か経費を直す
目次
月に100万円の利益が出ている。
それでも、お金が残らない。
物販で月利100万円まで行った人が、そこでやめてしまう理由の一番大きいものは「売上が落ちた」ではありません。利益は出ているのに現金が減っていく、という状態です。
この記事では、年商1億円の物販会社を例に、PL(損益計算書)を売上から手残りまで全部書き出します。数字は説明用の概算です。自分の数字に置き換えて読んでください。

融資のよくある勘違い3つ
先に、融資で起きやすい勘違いを3つ書きます。
- 借りたお金を「自分のお金」として数えてしまう。口座の残高が増えるので、感覚だけが先に大きくなります
- 返済は「利益」から出ると思っている。実際には税金を払った後の残りから出ます
- 売上を増やせば解決すると思っている。返済額が変わらないまま売上だけ増やすと、仕入れも在庫も増え、現金はさらに減ります

この3つは、後の計算で全部数字として出てきます。
ケースA:年商1億円・利益率20%のPL
項目 | 金額(万円) |
|---|---|
売上 | 10,000 |
原価(仕入れ) | 6,000 |
販売手数料 | 1,000 |
送料 | 1,000 |
売上総利益 | 2,000 |
売上総利益は2,000万円。月にすると約166万円です。ここだけ見ると、うまくいっている会社に見えます。
ここから販管費(売るためにかかる固定の経費)を引きます。
販管費 | 金額(万円) |
|---|---|
倉庫代 | 180 |
人件費 | 480 |
配送費 | 120 |
ツール代 | 36 |
通信費 | 12 |
税理士・弁護士 | 60 |
役員報酬 | 600 |
合計 | 1,488 |
売上総利益2,000万円から1,488万円を引いて、営業利益は512万円。まだ黒字です。
税金を引く
営業利益から、法人税と消費税を引きます。
項目 | 金額(万円) |
|---|---|
営業利益 | 512 |
法人税(約) | 150 |
消費税(約) | 150 |
税引後の利益 | 212 |
税率は会社の状況で変わるので、ここでは合わせて約300万円としています。
税引後に残るのは212万円です。
融資の返済を引く
年商1億円規模の物販で、融資2,000万円を5年で返す例を置きます。年間の返済は400万円です。
項目 | 金額(万円) |
|---|---|
税引後の利益 | 212 |
年間の返済 | 400 |
手残り | −188 |

利益は出ています。黒字の会社です。
それでも、現金は毎年188万円ずつ減ります。
これが「月利100万円でも、お金が残らない」の正体です。利益の512万円から返しているつもりが、実際には税金を引いた後の212万円から返しているので、足りません。
ケースB:年商5,000万円だと
同じ利益率で年商が半分になると、だいたい数字も半分になります。
- 売上総利益 約1,000万円
- 営業利益 約250万円
- 税引後 約100万円
- 融資1,000万円(5年)の返済 年200万円
- 手残り 約−100万円
役員報酬300万円では生活が成り立たないので、ここで追加の融資を受ける人が出てきます。返済額が増え、翌年の手残りはさらにマイナスになります。これを繰り返すのが「融資の繰り返し」で、やめるときには借金だけが残ります。
ケースC:どこを直すと残るか
年商2億円に伸ばした上で、固定費の形を変えた例です。
項目 | 金額(万円) |
|---|---|
売上総利益 | 4,000 |
家賃(自宅兼事務所) | 120 |
人件費 | 0(パート1人なら240) |
役員報酬 | 2,000 |
その他の販管費 | 約228 |
営業利益 | 約1,652 |
税引後(約) | 800 |
返済 | 200 |
手残り | 約600 |

ケースAと違うのは、売上の大きさではなく「倉庫と人件費を持たない設計」と「役員報酬を先に大きく取る設計」です。5年続けると、会社に約3,000万円、個人にも年700〜800万円が残る計算になります。
見る数字は、利益ではなく現金
PLの他に、BS(貸借対照表)も見てください。BSは会社の歴史です。
- 自己資本比率が低い会社は、借りたお金で回っている
- 内部留保は現金とは違う(在庫や売掛金の形で持っていることが多い)
- 現金預金は、固定費の3〜6ヶ月分を目安に持つ
在庫回転率も一緒に見ます。売った在庫の原価を、持っている在庫の原価で割った数字で、1なら1ヶ月で在庫が入れ替わっています。これが落ちていくと、利益が出ていても現金は在庫に変わっていきます。
利益と口座がずれる理由は「せどりで利益が出ても口座にお金が残らない3つの理由」、在庫の分け方は「せどりの在庫管理は月末30分」に書いています。
結論:返済はどこから出るか
この記事で一番大事な式はこれです。
税引後の利益 − 自分に必要なお金 > 年間の返済額

この式がプラスなら、融資は事業を速くするブーストになります。
マイナスなら、売上を増やす前に、返済額か経費のどちらかを先に直す話です。
融資を否定する記事ではありません。借りる前に、この1行を自分の数字で計算してあるかどうか、という話です。
よくある質問
Q. 月利100万円あるのに、なぜお金が残らないのですか。
返済は利益からではなく、税金を引いた後の利益から出るからです。ケースAでは営業利益512万円でも、税引後は212万円。年間の返済400万円を引くと、手残りはマイナス188万円になります。
Q. 売上を増やせば解決しますか。
返済額が変わらないまま売上だけ増やすと、仕入れも在庫も増え、現金はさらに減ります。売上を増やす前に、返済額か経費のどちらかを先に直します。
Q. 融資を受ける前に、何を確認すればいいですか。
税引後の利益から自分に必要なお金を引いた額が、年間の返済額より大きいかどうかです。大きければ、融資は事業を速くするブーストになります。
※この記事の数字は説明用の概算です。税率・手数料率・経費はケースによって変わります。税務の判断は税理士にご確認ください。