せどりは利益が出てもお金が残らない。月利100万円の手残りを計算する

せどりは利益が出てもお金が残らない。月利100万円の手残りを計算する

この記事の要点

  • 営業利益512万円でも、手残りはマイナス188万円
  • 返済は利益からではなく、税引後の利益から出る
  • 売上を増やす前に、返済額か経費を直す
目次
  1. 融資のよくある勘違い3つ
  2. ケースA:年商1億円・利益率20%のPL
  3. 税金を引く
  4. 融資の返済を引く
  5. ケースB:年商5,000万円だと
  6. ケースC:どこを直すと残るか
  7. 見る数字は、利益ではなく現金
  8. 結論:返済はどこから出るか
  9. よくある質問

月に100万円の利益が出ている。

それでも、お金が残らない。

物販で月利100万円まで行った人が、そこでやめてしまう理由の一番大きいものは「売上が落ちた」ではありません。利益は出ているのに現金が減っていく、という状態です。

この記事では、年商1億円の物販会社を例に、PL(損益計算書)を売上から手残りまで全部書き出します。数字は説明用の概算です。自分の数字に置き換えて読んでください。

図1: 売上から手残りまで
図1: 売上から手残りまで

融資のよくある勘違い3つ

先に、融資で起きやすい勘違いを3つ書きます。

  1. 借りたお金を「自分のお金」として数えてしまう。口座の残高が増えるので、感覚だけが先に大きくなります
  2. 返済は「利益」から出ると思っている。実際には税金を払った後の残りから出ます
  3. 売上を増やせば解決すると思っている。返済額が変わらないまま売上だけ増やすと、仕入れも在庫も増え、現金はさらに減ります
図2: 融資のよくある勘違い3つ
図2: 融資のよくある勘違い3つ

この3つは、後の計算で全部数字として出てきます。

ケースA:年商1億円・利益率20%のPL

項目

金額(万円)

売上

10,000

原価(仕入れ)

6,000

販売手数料

1,000

送料

1,000

売上総利益

2,000

売上総利益は2,000万円。月にすると約166万円です。ここだけ見ると、うまくいっている会社に見えます。

ここから販管費(売るためにかかる固定の経費)を引きます。

販管費

金額(万円)

倉庫代

180

人件費

480

配送費

120

ツール代

36

通信費

12

税理士・弁護士

60

役員報酬

600

合計

1,488

売上総利益2,000万円から1,488万円を引いて、営業利益は512万円。まだ黒字です。

税金を引く

営業利益から、法人税と消費税を引きます。

項目

金額(万円)

営業利益

512

法人税(約)

150

消費税(約)

150

税引後の利益

212

税率は会社の状況で変わるので、ここでは合わせて約300万円としています。

税引後に残るのは212万円です。

融資の返済を引く

年商1億円規模の物販で、融資2,000万円を5年で返す例を置きます。年間の返済は400万円です。

項目

金額(万円)

税引後の利益

212

年間の返済

400

手残り

−188

図3: 税引後の利益と返済額
図3: 税引後の利益と返済額

利益は出ています。黒字の会社です。

それでも、現金は毎年188万円ずつ減ります。

これが「月利100万円でも、お金が残らない」の正体です。利益の512万円から返しているつもりが、実際には税金を引いた後の212万円から返しているので、足りません。

ケースB:年商5,000万円だと

同じ利益率で年商が半分になると、だいたい数字も半分になります。

  • 売上総利益 約1,000万円
  • 営業利益 約250万円
  • 税引後 約100万円
  • 融資1,000万円(5年)の返済 年200万円
  • 手残り 約−100万円

役員報酬300万円では生活が成り立たないので、ここで追加の融資を受ける人が出てきます。返済額が増え、翌年の手残りはさらにマイナスになります。これを繰り返すのが「融資の繰り返し」で、やめるときには借金だけが残ります。

ケースC:どこを直すと残るか

年商2億円に伸ばした上で、固定費の形を変えた例です。

項目

金額(万円)

売上総利益

4,000

家賃(自宅兼事務所)

120

人件費

0(パート1人なら240)

役員報酬

2,000

その他の販管費

約228

営業利益

約1,652

税引後(約)

800

返済

200

手残り

約600

図4: ケースAとケースCの違い
図4: ケースAとケースCの違い

ケースAと違うのは、売上の大きさではなく「倉庫と人件費を持たない設計」と「役員報酬を先に大きく取る設計」です。5年続けると、会社に約3,000万円、個人にも年700〜800万円が残る計算になります。

見る数字は、利益ではなく現金

PLの他に、BS(貸借対照表)も見てください。BSは会社の歴史です。

  • 自己資本比率が低い会社は、借りたお金で回っている
  • 内部留保は現金とは違う(在庫や売掛金の形で持っていることが多い)
  • 現金預金は、固定費の3〜6ヶ月分を目安に持つ

在庫回転率も一緒に見ます。売った在庫の原価を、持っている在庫の原価で割った数字で、1なら1ヶ月で在庫が入れ替わっています。これが落ちていくと、利益が出ていても現金は在庫に変わっていきます。

利益と口座がずれる理由は「せどりで利益が出ても口座にお金が残らない3つの理由」、在庫の分け方は「せどりの在庫管理は月末30分」に書いています。

結論:返済はどこから出るか

この記事で一番大事な式はこれです。

税引後の利益 − 自分に必要なお金 > 年間の返済額

図5: 返済はどこから出るか
図5: 返済はどこから出るか

この式がプラスなら、融資は事業を速くするブーストになります。

マイナスなら、売上を増やす前に、返済額か経費のどちらかを先に直す話です。

融資を否定する記事ではありません。借りる前に、この1行を自分の数字で計算してあるかどうか、という話です。

よくある質問

Q. 月利100万円あるのに、なぜお金が残らないのですか。

返済は利益からではなく、税金を引いた後の利益から出るからです。ケースAでは営業利益512万円でも、税引後は212万円。年間の返済400万円を引くと、手残りはマイナス188万円になります。

Q. 売上を増やせば解決しますか。

返済額が変わらないまま売上だけ増やすと、仕入れも在庫も増え、現金はさらに減ります。売上を増やす前に、返済額か経費のどちらかを先に直します。

Q. 融資を受ける前に、何を確認すればいいですか。

税引後の利益から自分に必要なお金を引いた額が、年間の返済額より大きいかどうかです。大きければ、融資は事業を速くするブーストになります。

※この記事の数字は説明用の概算です。税率・手数料率・経費はケースによって変わります。税務の判断は税理士にご確認ください。